

概要
前回の記事(【認知症マフリーダークルー養成講座】#1 認知症について知識を深める)からの続きです。
第1回目(午前):認知症について理解を深める
座学2:認知症高齢者数の推移やアルツハイマー型認知症を発症する過程について
認知症サポーター養成講座についての座学の後は、ONBOARD理事長で社会福祉士でもある山本雅彦さんから認知症高齢者数の推移やアルツハイマー型認知症を発症する過程について学びました。
ONBOARDについて
改めてONBOARD立ち上げの経緯の説明がありました。
山本さんが視察で訪れたイギリスでTwiddleMuffに出会い「認知症マフ」として日本でも普及させたいと決心なさった事が最初だとか。
イギリスではDAAという組織があり、民間組織と官公庁とが連携して認知症患者やその介護者の健康、福祉ケアの向上を目指しているそうです。少し調べてみると非営利団体や医療機関、ソーシャルケア提供組織、官公庁、企業、大学や研究機関など様々な機関が連携しあって成り立っている組織みたいですね。
日本でも、認知症基本法が2024年に施行されました。
認知症の方の尊厳を守りつつ、社会全体で見守り共生する社会の実現を目的としています。
施行された背景を考えると、やっぱり認知症患者が増加している事が要因だろうなと思います。
認知症の高齢者数の推移
座学の中でもお話がありましたが、認知症の高齢者数は事実増えているそうです。
最新のデータでは、2025年には約471万人になり、2040年には約584万人になると。
そしてこの約584万人という数は高齢者のおよそ15%にあたるそうです。んー、多いですね!
とはいえ、10年前の推計だと2025年には認知症の高齢者数は約700万人のぼると算出されていたそうです。
おー、減っている…?!減った理由はライフスタイルの変化だとのこと。
算出した当時よりもタバコを吸う人が少なくなり、糖尿病患者も減り、運動をする人が増えたことが考えられ、生活習慣病が改善された事が要因なんだとか。
このまま健康なお年寄りが増えて、今算出されている2040年の推計も下回るといいなーと本当に思います。
(私も全然運動できてないけど、運動とか大事やな…しないとと思いました…)
アルツハイマー型認知症を発症する過程について
認知症の原因となる病気は様々ありますが、アルツハイマー型認知症についてお話がありました。
認知症の中でも最も多くを占めているタイプです。
初期のころからもの忘れがみられたり、脳の神経細胞そのものが変化していく病気によって認知症が引き起こされます。アミロイドβという認知症を引き起こすタンパク質が脳に蓄積され、神経細胞がダメージを受ける仕組みです。
近年、このアミロイドβを標的とした治療薬の開発も進められてきており、初期の症状において有効な薬も出てきているそうです。症状を7ヶ月~1年程度延ばせるようになるそうです。
人々を魅了する「認知症マフ」の関心の高まり
マフとは、16世紀頃に出てきた手にはめる防寒具のことで、それが19世紀にヨーロッパで大流行したそうです。
なるほど、だからイギリスでTwiddleMuffが産まれたのか!と納得しました。
私自身、マフって何?状態だったので。
認知症マフの魅力って何なんでしょうね?
ONBOARD理事長の山本さんがイギリスでこのTwiddleMuffを見たとき、一目見て魅了され地域福祉活動に役立てたいと思ったそうです。実際に日本で普及活動をされている中で年々その高まりも感じられているとのこと。
山本さんがおっしゃるには認知症マフの魅力は3つのKだとか。
・Kawaii(かわいい)
・Kantan(簡単)
・KoKen(貢献)
おー、なるほど。確かに私も認知症マフの入り口は、可愛いし好きな編み物で貢献できるなら…と思った事が始まりだったなーと思い出しました。
この日の午後から認知症マフの製作をしましたが、この3つを見事に体現している作品でした。
第1回目(午後):認知症マフ(ベーシックマフ)製作
午後からはニット作家の能勢マユミさんから認知症マフの製作講義が始まりました。
昔から本を読んだり独学で編み物を楽しんでいたので、誰かから編み物を教わるのは初めてで、すごく新鮮で楽しかったです!


認知症マフを編んでいく
どんなマフを編むと良いかな?
教わった認知症マフは、ただ可愛いだけでなく安全性にも配慮されている作品でした。
例えば、チクチクするものや、ちぎれやすい飾り、音がするもの、口に入れてみたくなるもの等は検討が必要です。
この講習を受講する以前、鈴とかつけてみると和ませられるのでは?と思って私が編んでお渡ししている病院に相談したことがありますが、看護師さんからNGが出ました。
というのも、夜間に音がしたりすると相部屋の患者さんが眠れなかったり不快に思うかもしれないからです。
でも絶対にNGってわけでもなく、自宅で看護している場合だったら良いかもしれないですねー。というお話をしました。
それを聞いた時、(あー、たしかに…配慮が足りてなかったなー)と思った記憶があります。
認知症マフってどんな環境でどういった人が使うのか考える事が大事なんですね。
贈る人が決まっているなら、その人が好きな色やモチーフを編むとより愛着を持って使ってくれるかもしれないし。
今回教わったマフは、こういった観点でも考慮されていて、使う人の好みに合わせてカスタマイズできるように(色々とプラスαで編みつけられる)余白を残したデザインになっています。とってもステキ!
認知症マフを編む楽しさ
まず、今回教わったマフを編んだ一番の感想は「楽しい!」でした。
何が楽しいって、ザクザク編めるんで割とすぐに完成します。そしてめちゃくちゃ達成感ある!
編み物に慣れている方は受講中に既に作り終わっている方もいらっしゃったように思います。
認知症マフってマフの飾りを編むのに時間がかかったりするんですよね。
でも、今回のこのマフは飾りも糸を切らずに本体のマフから続けて編めるんですよ!
これめちゃくちゃ画期的だと個人的に思いました。このデザインだからこそ早く完成できるんですよね。
飾り編むの難しい…編みたいけど時間が取れない…という方にこそ知ってほしいデザインです。
更に、できるだけ残り糸が出ないよう熟考されています。
今回、私は初めて能勢マユミ先生の作品を編んだんですが、先生はいつも製作される際に端糸が出ないように考慮してデザインされているそうです。
私が認知症マフを編もうと思ったきっかけの一つに端糸もったいない問題があったので、この考え方を聞いた時に(やっぱりプロのニット作家さんは流石やなー!)と感激しました。
※ちなみに、端糸もったいない問題についてはこちら
第1回目の講義を終えて
認知症マフについて沢山のことを学べました。
きっと一人で活動してたら知りえなかった事、気づけなかったことを勉強できました。
次回も学びの多い講義になるだろうなと、今から楽しみです。